太陽光発電とエリーパワー
太陽光発電と電気自動車を結びつける技術ともいえるリチウムイオン電池、その量産を目指して事業を行うエリーパワーという会社があります。旧住友銀行の副頭取まで務められた吉田博一社長が創業され、大株主には大和ハウス、シャープ、金融機関、大手VCなどが名を連ねています。
吉田社長は、2002年、当時三井住友銀リース会長兼社長だった時、慶應大が開発した電気自動車に試乗したことをきっかけに、「生涯を環境問題解決のために尽くしたい」と考えたとのことです。大物バンカーらしい大きな決断だったと思います。
吉田社長は、その後慶応義塾大学へ教授として召還され、2003年4月、ご自身が統括責任者として、約30社の民間企業の協賛を得て、エリーカプロジェクトをスタートさせました。1年という短期間で高性能電気自動車を開発し、最高速度370km/hを記録。エリーカ試乗等を通した啓蒙活動では、皇太子殿下や当時の小泉総理も試乗し、小泉総理は「資源のない日本にはうってつけ、エネルギー改革だ。」と絶賛されました。
電気自動車がまだあまり注目されていない時期でしたが、ニュースとして結構派手に取り上げられていた記憶があります。
また、その後研究プロジェクトを通して電気自動車を実用化するには電気自動車のエネルギー源である大型リチウムイオン電池を量産し、価格を下げることが必要だとの考えに至ったようです。そこで、2004年5月大型リチウムイオン電池の低価格化への実現策を研究するエルスクエアプロジェクトが発足しました。
そして、2005年7月には、国の協力も得ることが出来ましたが、リチウムイオン電池を量産することによって低価格化が可能という見通しが立ちながら、生産に踏み切れるリチウムイオン電池メーカーがなく、自らが大型リチウムイオン電池を大量生産を行うということで2006年9月に吉田社長が立ち上げたのがエリーパワー株式会社です。
上記のように大手企業を中心に株主を募っており、資本金は130億円を超えています。
また最近では太陽光発電に関連する事業にも積極的です。現在オフィスビル向けにリチウムイオン電池を活用した蓄電システムを提供していますが、2011年には住宅向けに参入することを目指し、太陽光発電と組み合わせた蓄電システムを販売する予定となっています。
蓄電池量産に向けては、さらに、2010年内に140億円の第3者割当増資による資金調達を行い、川崎市内に新工場を建設する予定のようです。
エリーパワーと神奈川県の取り組みとしては、以下のような事例も紹介されています(神奈川新聞社)。
「太陽光発電による電力を蓄えて電気自動車(EV)に供給するシステムが2009年11月26日、神奈川県庁に導入された。リチウムイオン電池を使った蓄充電システムの実用化は世界初という。県の公用EVで運用し、効率や使い勝手を確認する。
太陽光発電などの自然エネルギーは天候などによって電力量が変動するため、直接使うことが難しかった。新システムは、技術的に進化したリチウムイオン電池に電力をいったん蓄えることで、電力を安定供給できる。
新庁舎正面玄関前に、シャープ製の太陽光発電パネル(16.4平方メートル)を設置。慶大発ベンチャーのエリーパワーが開発したリチウムイオン蓄電池と充電スタンドを組み合わせたセットになっている。
天候によるが3~4時間の日照で60キロ程度走れる充電が可能で「日常の使用でつぎ足し充電するには十分な性能」(県環境農政部)という。5年間のリース契約(総額約900万円)で導入した。
セレモニーで松沢成文知事は「二酸化炭素(CO2)を全く出さない先進的な取り組み。EVの強い味方として普及させたい」とあいさつ。エリーパワーの吉田博一社長は「世界には電力が十分行き届かないところもあり、潜在的需要は大きい。いまはセットで1千万円程度するが、量産化で300万円程度になれば需要は急拡大するだろう。3年後がめどだ」と話した。」
全国の自治体は環境への取り組みを積極的に行っていますので、公共施設への導入は大きなビジネスチャンスとなっています。
リスクを取って太陽光発電や電気自動車など環境対策のビジネスに人生をかける元大物バンカーを応援したいと思います。
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